甲状腺とは
甲状腺は首の前、喉仏のすぐ下に位置し、大きさが約4~5cm、重さは約20gの蝶のような形をしている臓器で、脳の活性化や体温調節、新陳代謝の促進、心臓や胃腸など消化管などの機能に関わる「甲状腺ホルモン」を合成、分泌します。
また、甲状腺ホルモンは脳の下垂体という部分から分泌されるホルモン(甲状腺刺激ホルモン:TSH)によって調節されています。
甲状腺の疾患には、① 甲状腺ホルモンの異常(ホルモン過剰分泌かホルモン不足か)、② 甲状腺の腫瘍(良性か悪性か)の二つに大きく分けられます。
甲状腺ホルモンが過剰な状態
- ホルモンが作られ過ぎる(甲状腺機能亢進症)
- ホルモンが漏れ出してしまう(甲状腺の炎症など)
- 甲状腺ホルモン剤の投与量が多すぎる
暑がり・汗かき、疲れやすい、動悸、息切れ、手足の震え、食欲の更新、(過食にもかかわらず)体重が減る、下痢、筋力の低下、イライラ感や集中力の低下、月経異常や無月経など多彩な症状の原因になります。
これらの原因となる疾患としてバセドウ病、亜急性甲状腺、無痛性甲状腺炎、妊娠による甲状腺機能異常などがあります。
甲状腺ホルモンが不足している状態(甲状腺機能低下症)
寒がり、疲れやすい、むくむ、便秘、意欲の低下・無気力、物忘れ、便秘、脈が遅くなる(徐脈)などの多彩な症状を自覚します。
原因となる疾患として
- 橋本病(慢性甲状腺炎)
- ヨード過剰摂取(わかめや昆布の摂取過多、イソジン嗽液の多用)
- 甲状腺術後や放射線治療後の機能低下症
- 薬剤性甲状腺機能低下症(他の疾患の治療薬の影響で甲状腺機能が低下する)
などがあります。
甲状腺の腫瘍には良性と悪性があります
良性腫瘍として
- 甲状腺嚢胞
- 濾胞線種
- 腺腫様甲状腺腫
などがあります。
悪性腫瘍として
- 乳頭癌
- 濾胞癌
- 髄様癌
- 未分化癌
- 悪性リンパ腫
などがあります。
喉の違和感を感じる、首にしこりが触れる、首の前が急に膨らんできたなどの自覚症状を認めることもありますが、多くは無症状で、CT検査などで偶然見つかったりします。まず超音波検査で詳しく性状などを確認し、悪性が疑われる場合は「細胞診検査(生検)」が必要になりますので、総合病院に迅速にご紹介させていただきます。